マンション管理の役立ち情報
【防災】 災害に備える-管理組合編
あなたのマンションでは、管理組合として何か防災対策を実施していますか?国土交通省のアンケート調査(平成17年12月大規模災害への準備)によると、約50%のマンションから「特に何もしていない」と回答があったそうです。この結果についてあなたはどう思いますか?「大丈夫。自分のマンションだけは被害に遭わない」と考えてはいませんか?
「阪神・淡路大震災」以降も「宮城県北部を震源とする地震」、「十勝沖地震」、「新潟県中越地震」など大規模な地震が幾度と無く発生しています。また、平成17年の住宅火災による死者(消防庁)は1,223人で過去最多となりました。さらに異常気象による大規模な台風や暴風雨による水害も懸念されます。
今や災害は「忘れたころにやってくる」ものではなく、いつ私たちの身の回りで起こっても不思議ではないものです。大切なマンション居住者のいのちと生活を守るため、また、被害を最小限に抑えるため、防災対策は管理組合の重要なテーマなのです。
管理組合として、どんな対策をとればいいの?
1.一般的な対策
管理組合として実施している一般的な対策には次のものがあります。
- 防火管理者の選任
居住者数50人以上のマンションでは、防火管理者の選任が必要です。防火管理者の資格取得につき、延べ500㎡以上のマンションでは甲種講習(2日間)、500㎡未満のマンションでは乙種講習(1日間)を受けなければなりません。
*消防法上の義務づけの対象は、居住者数50人以上のマンションとなっていますが、これに達しない規模のマンションでも同様の対策を講じておくべきです。 - 消防計画の作成及び周知
都道府県によっては、標準消防計画の雛型を提供する消防署もありますので、未作成の組合は近隣の消防署にお問い合わせください。
また、作成すること以上に作成後の周知徹底が大切です。 - 消防用設備等の点検
設備ごとに点検の時期が決まっています。法定点検の対象 対象となる設備等 点検の時期 消防用設備等
(消防法17条3の3)
消火器具、消防機関へ通報する火災報知設備、誘導灯、誘導標識、消防用水、非常コンセント設備、無線通信補助設備 機器点検: 6 か月に 1 回 屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、泡消火設備、ハロゲン化物消火設備、屋外消火栓設備、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、漏電火災警報器、非常警報器具・設備、避難器具、排煙設備、連結送水管、非常電源等 機器点検: 6 か月に 1 回
総合点検: 1 年に 1 回配線 総合点検: 1 年に 1 回 - 災害時の避難場所の周知
災害時におけるマンション居住者の避難場所の周知はされていますか?学校や公園等が一般的ですが、不明な場合は管轄の消防署に確認し、居住者に周知してください。 - 災害対応マニュアル等の作成・配布
災害発生時の実施体制や対応手順を明確にすることが大切です。また、併せて確実に周知することが居住者のいのちと財産を守ります。消防計画にて明らかにされていない場合は、別途作成し配布する必要があります。 - ハザードマップ等防災対策に関する情報の収集・周知
災害発生時の安全な避難のため、想定される被害状況や避難所の位置や経路等を記載した「ハザードマップ」を作成し、配布している行政機関等もあります。防災対策に関する情報を積極的に入手し、住民に周知することも重要です。 - 年1回程度の定期的な防災訓練の実施
防災訓練の頻度については、法令上の定めはありませんが、年1回を目安に定期的に実施することが必要です。
《一般的な防災訓練スケジュール》
1.避難訓練:非常ベルの合図で、階段にて各居住者がマンション外に避難します。
2.通報訓練:組合の代表者が実際に119番に通報します。
3.消火訓練:植栽や火マークの的などに実際に消火器を噴射します。
4.講話:消防署員の講話です。


2.特別な対策
一般的な防災対策に加え、さらに次のような対策を講じることができれば非常に有効です。
- 災害時に必要となる道具、備品、非常食類の備蓄
大規模災害の発生時には、公の機関がすぐに支援することができません。まずは、マンションとして3日間生活ができるよう道具や備品、非常食類の備蓄をすることが重要です。具体的な備蓄品としては、食料、水、テント、簡易トイレ、懐中電灯、ろうそくなど避難生活に要するものや、住戸内に閉じこめられた人の救出に用いる工具類、負傷者用の医薬品、安否確認のためのハンドマイク、情報収集用のラジオ、負傷者運搬用の担架等が想定されます。

- 高齢者等の災害弱者が入居する住戸を記した防災用名簿の作成
高齢者等の災害弱者の救助について考慮する必要がありますので、各関係機関と協議の上「高齢者等が入居する住戸を記した防災用名簿」の作成を行うことも有効です。このような名簿は、個人情報保護法や個人情報保護条例との関係に十分留意し、本人の同意を得る等により作成するとともに、目的以外には決して使用しないよう適切な管理が必要です。 - 災害発生時における居住者間の安否確認体制の整備
災害発生時に電話回線がストップすることを想定し、居住者間の安否が確認できるよう体制の整備をしておく必要があります。
*災害用伝言ダイヤルなどの利用が有効です。 - 災害発生時の被害状況や復旧見通しに関する情報の収集、提供体制の整備
災害発生時、被害状況や復旧見通しの情報が入手できず、不安な状況が続き、生活に支障が生じることも考えられます。混乱しているため、情報が円滑に行き渡らなくなる可能性は高いと想定されます。こうした事態を避けるために、予め災害発生時における被害状況や復旧見通しに関する情報の収集、提供体制の整備をすることが望ましいと言えます。
*中規模災害でもエレベーターが停止し、その状況や復旧見通しがわからないため問題となった事例もあります。特に高層マンションなどでは、こうした事態も想定した情報の収集、提供体制の整備の必要性が高いと考えられます。 - 防火担当理事の選任
一般的な対策に加え特別な防災対策を実施する場合には、役員の中に防火担当理事を選任してはいかがでしょう。いのちに関わる重要な課題ですので、通常の役員体制では対応しきれない可能性があります。 - 近隣地域との協力
町会や自治会、商業施設などの地域ぐるみで防災対策に取り組むことも非常に有効です。会合等の行事には積極的に参加し、日頃から近隣の方とコミュニケーションをとるよう心がけましょう。
*消火用の放水施設のある商業施設と協定を結んでいる管理組合もあります。

e-暮らし研究所 所長 暮の助