マンション管理の役立ち情報
【大規模修繕】 どうすすめよう?大規模修繕
大規模修繕工事は何故必要か
建物は経年とともに確実に劣化します。しかしマンションに住む人たちは数十年、100年という寿命を期待していることと思います。従ってマンションの美観の維持、機能の維持向上を図ることは必須のことであります。標準管理規約には管理組合は長期修繕計画を立てて一定の年数ごとに計画的に修繕を行っていく必要性が示されています。
マンションを長期に亘って快適で安全な住まいとして維持し大切な資産としての価値を保持して行くためには大規模修繕工事の計画的実行は不可欠のことです。
以下に大規模修繕に関わる考察を述べます。
- 劣化が表面化する都度小修繕を繰り返すやり方もありますが、いくつかの工事をまとめて同時期に施工するほうが効率的でもあり、経済的と言えます。さらに修繕委員会を組織した場合周知を集めやすいということもあります。
- 技術的にも外壁の塗り替えは足場が必要であり、足場架設時に施工したほうが便利な工事も多々あることから大規模修繕工事が一般的になりつつあります。
- 新しく建設されるマンションを見て下さい。どんどん設備は新しくなり、便利な機能が付加されています。物理的劣化だけでなく時代の進展とともに古いマンションは取り残され遅れていきます。いわゆる社会的劣化です。最近では、修繕は原状回復だけでなくデジタル化、耐震化など設備、機能、意匠の向上も益々必要になって来ました。
大規模修繕のサイクルは?
建築は10年一区切りということが言えましょう。建物の劣化(参考写真有)(コンクリートのひび割れ、塗装の退色、剥離、防水の劣化、金属部の発錆など)防水の保障期間、さらには法的にも品確法の瑕疵担保責任、旧住都公団の瑕疵保障などを思い起こして下さい。こうしたことから一般的に大規模修繕は10年~13年位の周期で行われることが多いのです。
大規模修繕をどのように進めたらよいか
大きく分けて三つの段階があります。即ち①調査診断 ②改修設計 ③改修工事 です。
それぞれの段階毎に業者選考、発注契約、検収それに伴う事務作業があり、また組合員への周知、合意取り付け等の作業があります。これらを全て管理組合サイドで自力で行うとすれば大変なエネルギーを要する訳でボランティアの多い組合理事会、修繕委員会の手に負えない業務であるといえましょう。

以上より業務の外部委託をするわけですが、これについて工事会社に①から③までの業務を全て委託する設計施工方式と工事を分離してコンサルタントを起用する方式と大別して二つのやり方があります。これについて図示して見ました。
ただ時代の趨勢は以下に見るような理由からこうした実務をコンサルタント会社に委託し、業務を進める方式が主流になりつつあります。
コンサルタント会社はどのような仕事をするのか
現状では大規模修繕のコンサルタント会社は殆どが調査診断、改修設計を自ら行い工事に当たってはその発注支援業務と工事の監理を行うのが通常です。したがって大規模修繕を実施しようとする組合はコンサルタント会社と工事を請け負う工事会社に業務を発注すれば大規模修繕は遂行できます。やや専門的になりますが別図にこの場合のコンサルタントとしての業務フローを示しました。
(コンサルタントの業務フロー)
コンサルタント会社に頼むメリットは何?
もちろん改修工事を行うゼネコンにしろ専門業者にしろ調査診断、改修設計、工事を一括して行うことは出来るのが通常です。ただ現在の社会的な趨勢から業者の設計施工方式は時代状況に適さないと言えます。管理組合がコンサルタント会社に頼むことによって考えられる組合側のメリットは次のことが挙げられます。
- 客観的な診断が可能・・・業者だとどうしても工事額を増やす方向の調査診断になりがちである。
- 経済的かつ適切な設計が可能・・・理由は1.と同じ。
- 工事発注に於いて複数の業者を競争させることにより公明性、公平性を組合員にアピール出来、工事金額をリーズナブルな価格に抑えられる。
- 工事の設計監理に於いて施工の品質、精度を確保できる。
どのようにしてコンサルタント会社を選んだらよいか
管理組合も現状はまず会社のパンフレット、案内などを取り寄せ書類選考で何社かを選び調査診断、改修設計、工事監理の見積もりを徴収し比較し、さらにプレゼンテーションを行わせ最終的に1社に絞るやり方が多くなって来ている。この場合の判断基準として重要だと思われることを下記に述べます。
- 経験豊富であること(実績が多いこと)・・・いろいろな予期しない状況に対応できる。
- 技術者の数、質(技術力が高いこと)・・・諸々のグレードアップ工事に対応可能。
- 経営状況が安定していること・・・・・・長年月に亘るアフターメンテに対応可能。
施工会社はどのように選んだらよいか?
一番お金がかかるのは工事金額ですし、色々と問題になることが多いのが工事業者の選定です。普通、木造の個人住宅の場合など顔見知りの大工さんに決めて最初からお願いする場合が多いかと思いますが、このようなやり方を特命随意方式といって民間工事ではお互いの信頼関係がある場合に行われています。
準公共的な団体であるマンション管理組合の場合にはこうした形は不適当です。やはりオープンに業者を募集して価格を競争させた上で決定すべきです。価格の競争は官庁工事の場合などは一般競争入札といって工事発注に際して公告などの形で業者を公募して希望者に工事請負金額を書いた札を提出させて一番安い所に決めます。
但し、管理組合の場合は、この入札の形は価格が安いだけで不良な業者が入り込み易く危険です。広く業者を公募することは必要ですが、業者を選ぶ上では見積り合せ方式といって何社かを選んだ上で見積書を提出させその内容を吟味して決めるのが適当です。この場合、一番安い業者に決めるとは限りません。
価格が安いことは勿論ですがそれ以外に考慮すべき点について挙げてみましょう。
- 修繕工事における総合技術力及び実績があること
- アフターサービス体制が整っていること
- 経営状況が安定していること
- 現場担当者の技量があること
石田 直之(いしだ なおゆき)
設計事務所株式会社東京建物リサーチ・センター取締役副社長
一級建築士、被災度区分判定基準技術者、宅地建物取引主任者
建築系ゼネコンの施工、営業部門を経て、ヨーロッパの建築視察でリニューアルの重要性を痛感。2005年より現職。長年の経験と技術ノウハウを活かして、管理組合様の立場に立ったリニューアルや大規模修繕の御相談に応じております。
