マンション管理の役立ち情報
【セキュリティ】 防犯に関する講習会報告
最近、防犯、特にマンションのセキュリティについて、さまざまな新しい取り組みが行われているのをご存知ですか? (防犯に関する講習会報告)
今月に入り、防犯に関する2つの講習会に参加してきました。
1つは、マンション管理センター主催のマンション維持管理技術講習会で、「防犯」がテーマです。もう1つは、東京都の主催する「犯罪に強いマンション計画講習会」です。
どちらの講習会でも最近の防犯に関するさまざまな取り組みについての説明がありました。大変多くの方が聴講していて防犯に対する関心の高さが感じられました。
マンション管理センターの講習会では、独立行政法人建築研究所研究員の樋野氏により「ソフトとハードを組み合わせた防犯対策を」というテーマで、防犯環境設計の原則、防犯優良マンション認定制度からソフトの防犯対策まで最近の防犯についての考え方や動向など幅広く体系的に説明されました。また、社団法人日本防犯設備協会の三沢氏より「防犯映像システムの画像評価について」というテーマで、防犯カメラシステムの4大設計項目などについて詳しく説明されました。
東京都の講習会では、はじめに警視庁の濱口氏より東京都安全安心まちづくり条例「住宅における犯罪の防止に関する指針」の改正についての説明がありました。その後、拓殖大学守山教授より「環境犯罪学の考え方」、明治大学山本助教授より「防犯環境設計について」と、外国の事例や歴史背景等も踏まえた講演がありました。
ここでは、講習会で説明のあった最近の防犯に関する取り組みを、いくつかのポイントに整理してご報告したいと思います。
●防犯環境設計(独立行政法人建築研究所研究員樋野氏、明治大学山本助教授)
防犯環境設計の4つの基本原則(「対象物の強化」「接近の制御」「監視性の確保」「領域性の確保」)の内容については、別のコラムにて詳しく説明がありますので、そちらを参照いただきたいと思います。(>>マンションの防犯対策)
ここで、樋野氏および山本助教授が話していたのは、ソフトの防犯対策の重要性です。山本助教授によると、日本の防犯環境設計の考え方は21世紀になってから浸透してきたもので、まだ、建物部品・設備などによる物的環境面での防犯対策が中心であるとのことです。
樋野氏の述べるように、近所付き合いなどのコミュニティ形成、適切な建物の環境整備や地域との連携などのソフトの防犯対策をハードに併せて取り入れることで、大きな効果が得られることとなると考えられます。
●東京都安全安心まちづくり条例「住宅における犯罪の防止に関する指針」の改正(警視庁濱口氏)
警視庁では、東京都と共同して、住宅の防犯対策のガイドラインである「住宅における犯罪の防止に関する指針」を改正し平成19年1月1日に施行しました。改正のポイントは以下の通りです。
(全文>>「住宅における犯罪の防止に関する指針」)
改正のポイント
- 共同住宅の防犯カメラ設置の推進
- 共同住宅の共用出入口・駐車場等への防犯カメラ設置の推奨
- 防犯カメラの設置・運用に伴うプライバシー保護等の規定を新設
- 共同住宅居住者による自主防犯体制の推進
- 管理組合等を中心として、防犯担当者の指定など自主防犯活動の推進を具体化
- 地域(警察署、区市町村、町会・自治会、防犯ボランティア団体)との情報共有、連携強化
- 住戸の玄関や窓への防犯建物部品等の使用の推進
同指針では、東京都安全・安心まちづくり条例第10条の規定に基づいて、住宅での犯罪防止に配慮した建物の構造や設備に関する基準、共同住宅の居住者の安全を確保するための管理対策等を参考として示すことで、防犯性能の高い住宅の普及と自主防犯体制の推進を目的としています。
●防犯カメラシステムについて

- 犯罪の抑止
- 捜査支援
- 犯罪の防止・即時対応(通常マンションでは無理)
2.防犯カメラ設置基本3箇所(独立行政法人建築研究所研究員樋野氏)
- 共用玄関
- エレベータ内
- 駐車場出入口
3.防犯映像システム(社団法人日本防犯設備協会三沢氏)
<防犯カメラシステムの4大設計項目>
- 防犯部位:「防犯優良マンション標準認定基準」等により設定
- カメラ配置と画角:防犯部位別にカメラ配置の仕方、場所により死角をなくすような配慮が必要。また、4種類の画角で人物の捉え方を部位別に設定
- 照明と光:防犯部位別に照明や明るさを設定、また、部位により逆光にならない配慮
- 記録:ハードディスクユニットは3年程度で寿命、画質は上から2~3番目、記録レートは1秒1枚で動きが激しければ1枚以上
●防犯優良マンション認定制度(独立行政法人建築研究所研究員樋野氏)
平成13年に警察庁と国土交通省により定められた「防犯に配慮した共同住宅の設計指針」を元に、各地の防犯協会などが犯罪に遭いにくい構造や設備の一定基準を満たしたマンションを認定する制度です。平成18年4月には、警察庁及び国土交通省により改正された「防犯に配慮した共同住宅に係る設計指針」に基づき、全国公益法人(全国防犯協会連合会、日本防犯設備協会及びベターリビング)により「防犯優良マンション標準認定基準」が策定され、各都道府県の防犯優良マンション認定事業における認定基準の標準とされています。
この制度は、広島県が一番最初に取り組んだ制度で、現在12都道府県で実施中です。現在広島県では新規分譲マンションの約半分がこの認定を受けているといわれています。
なお、既築のマンションではこの基準を満たさなくても、この基準に近づける努力で、犯罪を可能な限り防ぐことが重要との樋野氏の話でした。
>>防犯優良マンション認定事業
>>防犯優良マンション標準認定基準
>>東京防犯協会連合会
●防犯性能の高い建築部品の推奨(独立行政法人建築研究所研究員樋野氏、警視庁濱口氏)
侵入犯罪の防止を図るため、関係省庁および建物部品関連の民間団体からなる「防犯性能の高い部品の開発・普及に関する官民合同会議」が設置され、「防犯性能の高い建物部品目録」を公表。

- 実際の侵入犯罪手口に対して5分間の抵抗性能を有することを目標に、建物部品の防犯性能試験を実施し、試験合格品を目録に掲載・公表。
- 共通して使用できる標章を策定。(左のマーク)
- 目録掲載品は平成19年1月31日時点で17種類、3547品目。
●住宅性能評価に防犯に関する項目が追加(独立行政法人建築研究所研究員樋野氏)
住宅性能表示制度において、防犯に関する事項として「開口部の侵入防止対策」が住宅性能表示事項として追加されました。概要は次の通り。
- 住宅の開口部について、侵入を防止する性能が確かめられた部品(「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載された製品等)の使用状況を表示。
- 平成18年4月1日以降に住宅性能評価の申請が行なわれる住宅に適用。
>>日本住宅性能表示基準・評価方法基準の改正 (防犯に関する性能表示事項の追加等)について
●その他のポイント
1.不十分な窓への対策
その他で参考になったのは、警視庁濱口氏の話で、マンションへの侵入窃盗の侵入手段は、ガラス破りが3割と一番多く(18年上半期)、ピッキングなどで話題になったドアへの対策に比べ、窓への対策が不十分であるということです。今後、窓への対策の強化が必要と感じました。
2.犯人は顔を見られるのを嫌う
拓殖大学守山教授の話では、「犯人は顔を見られるのを嫌う」ということが、対策を考える上で重要とのことです。この対策のために、防犯環境設計の4つの基本原則のうち、「監視性の確保」でいう明るさの確保や人の目の重要性、「領域性の確保」でいう地域を含めたコミュニティー形成が重要になることを再認識しました。
e-暮らし研究所 所長 暮の助