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マンション管理の役立ち情報

【大規模修繕】 テーマ別改修シリーズ「鉄部塗装」

大規模修繕に関する顧問研究員

石田 直之(いしだ なおゆき)

長年の経験と技術ノウハウを活かして、リニューアルや大規模修繕のご提案をします。



鉄部塗装は、長期修繕計画でも一般的には最初に実施するもので、必ず行なう工事のため馴染みのあるものですが、いろいろ注意点があるにもかかわらず、余り注目されていません。
ここでは、そんな鉄部塗装の基本をもう一度確認していきたいと思います。

はじめに、「鉄部塗装」には大きく分けて3種類の塗装方法があります。現場塗装、工場によるスプレー塗装、そして同じく焼付け塗装があり、後の2つの場合は半完成品として、現場に搬入され取り付けることになります。今回はテーマに基づく塗装方法として大規模修繕の現場塗装について説明したいと思います。

  
                            

1.どんな部位が対象でしょう

基本的に鉄でできている部位は対象になりますが、確認できるよう以下に例を挙げておきます。

鉄骨階段、消火栓ボックス、玄関扉、防火扉、エレベーター扉、自転車置場、自転車ラック、機械式駐車場、パイプシャフト扉、メーターボックス扉、屋外照明器具、手摺、外構フェンス、ルーフドレイン、縦樋、各種金物、等々

2.どの程度錆が出てきたら実施するのか?(錆が出てからでは手遅れです)

通常は長期修繕計画では、鉄部塗装(現場塗装)は約4年周期で塗装することが望まれます。それは、錆が発生する前に塗り替えることが鉄部基材を長持ちさせることになるからです。したがって、錆が発生した後の実施では、本来遅いわけです。
建築後約10年程度で実施する第1回目の外壁大規模改修までに、少なくとも中間に1度は鉄部塗装を実施することが望まれます。錆が多く発生すればするほど、下地処理に多くの手間とコストがかかることになるからです。


3.鉄部塗装はどのような方法でやるの?

対象部位を全面塗装する「塗り直し」が一般的な施工方法です。入り組んだ場所は刷毛塗りとし、広い面上ではローラー塗りとします。また、工程としては、ケレンを行なった後、①錆止めの下塗り、②中塗り、③仕上げの3工程で行うのが一般的です。

「タッチアップ」という方法もありますが、これは全体としては良好な塗装面に局部的に傷、汚れ等がある場合に刷毛等で部分塗装する工法のことをいいます。

4.どんな材料が使われるのでしょう

一般的な鉄部塗装では、アクリルウレタン系樹脂塗料が多く使われています。
特殊な例としては、金属屋根焼付け塗装面に対してフッ素樹脂系塗料、又屋上ルーフドレイン(鋳鉄製)に対してタールエポキシ樹脂塗料など様々な部位、下地に合わせた材料が各塗料メーカーで開発されています。

メーカーとしては、日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研、等々ありますが、一般の鉄部塗装の塗料では各社相違はありませんから、設計事務所や施工会社に推薦してもらうのがよいでしょう。

5.改修上のポイント、その他注意点

鉄部塗装を施工するにあたり、主に次の点に注意して実施しましょう。

  • 飛散防止

    現場でのスプレー塗装は出来るだけ避け、刷毛、ローラー塗装とします。そうすることで、殆ど飛散の心配はありませんが、マスキングや床の養生は確実にしてから塗装に入ります。

  • ケレンの重要性

    ケレンには、旧塗膜の状態により1種ケレンから4種ケレンまで仕様基準が定められています。塗装面の傷、錆、汚れ等の付着物をワイヤーブラシ等で除去し表面を平滑にすることで塗装面の仕上がりをよくする効果があります。

  • 色はどのようにして決めるのか

    大規模修繕での色決めでは、多くの組合員の合意形成を得るのは大変困難であるため一般的には、入居当初の色合いを基調として濃淡3種類ほどの色見本を提示して協議の上決めます。場合によっては、アンケートによる投票方式の例もあります。

  • 自転車置場、機械式駐車場の塗装中の置き場の確保

    仮置き場が十分確保できる場合は、工期、安全性、養生などを配慮すれば一時的に全てを移動し塗装をすることが望ましいです。しかし、置き場が十分に確保できないケースでは、順送りに工区を分けて塗装することとします。

  • 塗装する場所としない場所が色焼けしていて色が違ってしまう場合の対応

    同一面での塗装分けはできるだけ避けるようにし、入り隅、出隅のコーナーでの色分けにより色違いを目立たないように工夫します。部分的な補修などで同一面で一部塗装する場合は既存の退色した色に合わせて調合する場合が一般的です。

  • エレベーターの扉の塗装はどこでやるのか

    大規模修繕工事の場合、鉄部塗装工事の一環として施工するのが一般的ですが、エレベータ会社で行なうこともあります。

6.ステンレスは錆びないの、塗装はいらないの?

通常、手入れをしていればステンレスは錆びることは少ないのですが、クロムの含有量により違いはありますが、塩化物イオンが大量に存在すると腐食(錆)のおこりえます。
従って、一般的には塗装しなませんが、錆びてしまった場合は状況によりあえて塗装をする場合もあります。

鉄部塗装に関する用語集

  • ケレン
    鉄部の塗装前に行なう下地処理のことをいいます。塗装する面のホコリやゴミ、劣化して浮き上がった古い塗膜、錆びなどを鉄ヘラ・サンドペーパー等をあてて落とす作業です。サンドペーパーや研磨材でこすって細かいキズをつけることによって、塗料の密着性が向上します。1種ケレンから4種ケレンまで、旧塗膜の状態により仕様基準が定められていて、通常は3種ケレンを採用しています。
  • チョーキング
    塗装表面の表層樹脂が劣化して、塗料の色成分の顔料がチョークのような粉状になって顕れる現象をいいます。

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