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マンション管理の役立ち情報

【大規模修繕】 テーマ別改修シリーズ「屋上防水 第2回非歩行型」

大規模修繕に関する顧問研究員

石田 直之(いしだ なおゆき)

長年の経験と技術ノウハウを活かして、リニューアルや大規模修繕のご提案をします。



1.どの程度の状況で補修が必要になるの?

一般的に非歩行型の防水とは、防水層が屋上の最上層に施工してあり、防水層が露出しているタイプ(露出防水)のもので、一般歩行することにより防水層の表面に損傷を与える可能性が高い材質(柔らかい樹脂や、磨耗に弱い材質で構成されたもの)のため、使用用途として歩行使用に向かないものを言います。

  

●劣化状況のポイントは?

劣化現象については、「屋上防水第1回 歩行型(陸屋根)」の場合とは異なり、防水層が露出しているため、表面の状況を目視・指触・打検等の方法により判断します。 使用されている防水層の種類により固有の劣化現象がありますが、目で見て判断する劣化現象のポイントは以下の通りです。

  • 防水層の破断、損傷(ひび割れ、傷)
  • 防水層のはがれ(シート防水の場合、シートジョイント部に剥れが発生する)
  • 防水層の浮き(大きさ、高さ)
  • 防水層の変色(表面の部分的な色違い、保護塗料の剥れ)
  • 防水層端部(シール切れ、剥れ)

●耐用年数は?

前回も各種防水層の耐用年数に関する参考指針を提示させていただきましたが、経年による判断の参考として今回も提示します。(*耐用年数に関する参考指針参照))

※耐用年数に関する参考指針
防水層の寿命を検討する際の指針として、通称:総プロ(旧建設省が主体となって構成された総合技術開発プロジェクト)によって作成された「建築防水の耐久性向上技術」の中の「防水層の標準耐用年数」では、アスファルト防水押えコンクリート仕上げの場合は17年、露出アスファルト防水の場合は13年、シート防水(塩ビシート、ゴムシート)の場合は13年、ウレタン塗膜防水の場合は10年と示されています。

防水層の耐用年数は建物の立地条件や防水工法・仕様、気候条件等の諸条件によって相違が出てきますので、上記経年数はあくまでも目安です。また、劣化現象が部分的なものであって補修で対応できるものか、全面の防水改修が必要なのかを判断するためには、経年数が大きな判断材料になることは間違いありません。
いずれにせよ、劣化現象を発見したときには専門家による劣化調査を行い判断することが望ましいと言えます。

2.改修にはどのような工法があるの?

改修の手法については、防水層を全て撤去し新たに防水層を施工する「撤去工法」と現在の防水層の上から改修する「かぶせ工法」があります。

前者の「撤去工法」は費用・工期がかかりますが、新築時と同程度に戻すことが可能です。後者の「かぶせ工法」は、既存の防水仕様、状況等により下地調整が変わってきますが、「撤去工法」と比較し、一般的に費用・工期はかかりませんので、最近では「かぶせ工法」が多く採用されています。

  

非歩行型の露出防水の改修を考える場合には、改修工事の回数や履歴について詳細に把握する必要があります。今までに施工された防水層の種類や材質により、「かぶせ工法」をとれずに、「撤去工法」を選択することになるケースが考えられるからです。
1回目の改修工事であれば、比較的簡単に「かぶせ工法」による改修工事が選択できます。また、新築時の設計意図による防水層と同種類の防水層(新築時の防水層の材質と同じ防水種類)による改修が可能です。
ただし、新規に施工する防水層に軽歩行性能を付加したい場合や、竣工後屋根に設備(空調の機器等)をたくさん乗せている場合などは、施工方法やコストの制約等により、違った防水材料を選定する場合もあります。

3.どんな材料を使うの?

防水材料は新築工事用・改修工事用と分けている訳ではありませんので、アスファルト系の防水材料・塩ビシート防水材料・ゴムシート防水材料・ウレタン塗膜防水材料等を使用します。

最近では、改修に向いた工法として上記の材料を複合的に用いる防水工法も現れており、改修時における特有の問題(残留水分等の影響を回避する)にも対処しているシステム等があげられます。

4.改修上のポイント、その他留意点は?

  • 降雨対策
    工事期間中には雨天のときもあります。
    雨漏りしないように防水改修をするのに、工事中に雨漏りしてしまっては本末転倒です。降雨対策については、工事着工前に打合せを行い合意しておきます。
  • 防水保証
    改修工事後の防水の不具合によるアフターサービスについても、打合せを行い、責任範囲と期間について合意しておきます。
  • 防水層以外
    防水改修工事においては、防水層の更新だけでは雨漏りが止まらないケースもあります。
    防水層の性能も大事ですが、防水層の末端部(防水層が終わる部分)の納まりも大変重要となります。防水層の末端部に水が直接かからない様な雨仕舞(納まり・工夫)とすることが望ましく、アルミ製の水切り等を使用するなどして対策をとりましょう。
    また、雨水の排水経路であるドレン部も重要です。経年により鋳鉄製のドレンが割れたり、樋が外れてないか等の確認もしておきましょう。
  

5.工事実施時のポイントは?

前回の「屋上防水第1回歩行型(陸屋根)」と同じですが、防水工事施工時の条件として、下記の場合は施工を避けます。

  1. 降雨・降雪日
  2. コンクリート面が十分乾燥していない時
  3. プライマー塗布の状態で降雨等が予想される時
  4. 防水施工後、5時間以内に降雨等が予想される時
  5. 気温が5℃以下の時
  6. 強風の時



【屋上防水の基礎知識】

●防水材料の種類と特性

  1. 防水材の性状による種別
    1. 定形材料
      工場で生産されるシート形状の防水材を施工現場にてつなぎ合わせて、防水層を作るもの。(ゴムシート防水、塩ビシート防水、アスファルト防水[トーチ工法・自着工法])
    2. 不定形材料
      液状の防水材料を施工現場で塗り、化学反応を利用して硬化させて防水層を形成する。(ウレタン塗膜防水、ケイ酸質系塗膜防水)
  2. 防水材料の材質による種別
    1. アスファルト
      原油を生成する過程で最後に残る、耐水性が高い物質。
      旧約聖書でノアの箱舟にも使われたというくらい、古くから止水を目的に使用された物質。 新築時に多用されるため、改修でも主流。(アスファルト防水熱工法・トーチ工法・自着工法)
    2. 加硫ゴムシート
      車のタイヤ等に使用されるゴムと同様のゴムを原料にシートに加工したもの。軽くて柔軟なため、鉄骨造の建物や改修工事での採用が多い。(加硫ゴムシート防水)
    3. 塩化ビニールシート
      塩化ビニル樹脂を原料にシート状に加工したもの。
      新築では接着剤で貼り付ける工法が多い。
      改修では、機械的固定工法(屋根のコンクリートにディスク板をビスで取り付けておき、シートはそのディスク板に接着させる工法のため機械的固定工法と呼ばれる)での採用が多い。(塩ビシート防水)
    4. ポリウレタン系
      ウレタン樹脂を用いた塗膜防水材。2液(主剤・硬化剤)を混ぜ合わせ反応硬化させるタイプが主流。
      1液タイプもある。作業の難しい狭隘部や軽歩行目的でのバルコニーやベランダでの採用が多い。(ウレタン塗膜防水)

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