マンション管理の役立ち情報
【大規模修繕】 テーマ別改修シリーズ「屋上防水 第3回勾配屋根」
1.マンションにおける勾配屋根とは(種類とその材料)

勾配屋根の防水ということで類型化したものはありません。
屋根の形状(庇のような傾いた面を持つ屋根)や陸屋根(フラットな屋根)と比べて、勾配の強いものを勾配屋根と呼んでいたりします。
古来日本では、屋根を強調した建築様式を大事にしてきました。寺社・仏閣などは屋根を見せるようにしたものが多いことは、多くの方が思い出されるでしょう。日本の気候が多雨だということも関係し、建物に屋根をかけ雨水を早く落としてあげることが、事故がなく住み易い建物として定着してきたともいえます。
近代建築では、コンクリート造などで建物形状の自由度が上がり、さまざまな形状が可能となったために、屋根でも屋根材を使用せずに防水材を使用するケースも増えてきました。
一般的に屋根はどのように分類されているかといいますと、建築基準法上の規定とは別に、屋根としてのデザインで屋根材を使うか防水材で良しとするかの判断がなされているように思います。但し、屋根材には固有の適応勾配が存在します。基本的に屋根材は重ねながらの施工となりますので、重ねることにより雨水が逆流し建物の中に入り込むことがないように、決められているといったほうが良いかもしれません。
| 勾配/屋根材の種類 | 防水材 | 金属瓦棒葺 | シングル葺 | 金属横葺 | コロニアル葺 | 和瓦 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 0~1/10(6°) | ○ | ○ | ||||
| 1/10~2/10(11°) | ○ | ○ | ○ | 2/10~3.5/10(19°) | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 3.5/10~5/10(27°) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 5/10~ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 標準耐用年数 | 10~15 | 15~30 | 15~20 | 15~30 | 15~20 | 30~50 |
2.どの程度の状況になったら補修を実施するの?
勾配屋根の防水は、どの程度になったら補修を実施するのか?という点ですが、屋根材ごとの耐用年数を参考に表に入れておきました。当然建物の立地条件や金属屋根の場合は特に材質により、耐用年数は変わってまいりますのでご注意ください。また、防水材の補修については、このシリーズ第2回の非歩行用防水の部分(下記※)を参考にしてください。
※防水層の耐用年数は建物の立地条件や防水工法・仕様、気候条件等の諸条件によって相違が出てきますので、上記経年数はあくまでも目安です。また、劣化現象が部分的なものであって補修で対応できるものか、全面の防水改修が必要なのかを判断するためには、経年数が大きな判断材料になることは間違いありません。
いずれにせよ、劣化現象を発見したときには専門家による劣化調査を行い判断することが望ましいと言えます。
3.改修手法・工法はどのようなものがあるの?
改修の手法については、屋根材を全て撤去し新たに防水層を施工する「撤去工法」と現在の屋根材の上から改修する「かぶせ工法」があります。
前回でも説明しましたが、前者の「撤去工法」は費用・工期がかかりますが新築時と同程度に戻すことが可能です。後者の「かぶせ工法」は既存の防水仕様、状況等により下地調整が変わってきますが「撤去工法」と比較し、一般的には費用・工期はかからないと言われています。
防水材とシングル葺で施工されている場合はかぶせ工法を容易に選択可能です。金属瓦棒葺・金属横葺の場合はかぶせ施工も可能ですが、撤去するケースも多いです。
コロニアル葺・和瓦の場合は、殆ど撤去工法にて改修が行われています。稀にかぶせ施工で新規に施工する屋根材を変えて改修工事を行うこともあります。(コロニアル葺に上にかぶせ工法でシングル葺きを施工する)
4.どんな材料を使うの?
使用する材料については新築時に使用する材料と変わりません。防水材料は新築工事用・改修工事用と分けている訳ではありませんので、アスファルト系の防水材料・塩ビシート防水材料・ゴムシート防水材料・ウレタン塗膜防水材料等を使用します。
5.改修上のポイント、その他留意点は?
| 降雨対策・・・ | 工事期間中には雨天のときもあります。雨漏りしないように屋根防水の改修をするのに、工事中に雨漏りしてしまっては本末転倒です。 事前の打合せで、対策をしておきましょう。 |
|---|---|
| 屋根以外・・・ | 屋根改修工事においては、屋根材の更新だけでは雨漏りが止まらないケースもあります。屋根材の性能も大事ですが、屋根材の末端部(防水層が終わる部分)の納まりも大変重要となります。 |
6.守るべき基準や法律は?
守るべき基準としては、建築基準法があげられます。建築基準法では、屋根と壁では要求される防火性能の規定が異なりますし、建物が立地する地域(土地の種別で防火地域・準防火地域等で表されます)によっても違ってきますが、屋根の定義としては屋根勾配が基準となっています。
大まかに、屋上屋根(0°~30°)、勾配屋根(30°超~70°)、壁(70°超~90°)〔屋上屋根・勾配屋根の言葉は基準がありません、規定が2段階あるために便宜上使いました。〕として、区別されています。
